当サイトで活躍している仮歌シンガーさんたちのように仮歌の仕事を請けてみたいというみなさん。少なからず歌声には自信も持っていると思います。
歌声・歌唱力などは高い能力が求められますが、それ以外でも実は求められるものは多いです。
どこまでのレベルで仕事を請けるかで求められるものは異なりますが、ここでは最低限必要なスキルと仮歌シンガーとしての心構えをお伝えします。
1.個性は必要ないってホント?
ちょっと前まで仮歌に個性は必要ないと言われることがありました。というか今でも言われることがあるので、個性を求めていない作曲者さんもまだいるんでしょうね。
個性も作れる時代?
しかし、個性がいらないならボーカルなんてどうとでもなります。テキトーに歌った声のピッチ・タイミングを完全に修正し、トーンも調整すれば声質もある程度作れます。
複数の歌がユニゾンのジャニーズやAKBのような感じなら簡単です。
それどころか個性的な声だって作れます。例えば人気番組の【チコちゃんに叱られる】を見たことがある人も多いと思いますが、チコちゃんの中の人は木村祐一さんです。そして、カラスのキョエちゃんはいきものがかりの吉岡聖恵さんです。
あんな感じで声質なんていくらでも変えられちゃうわけですね。
クセのありなしを歌い分け出来るのが一番
しかし、個性的な歌声や歌い方をコンピューターで作り出すことは難しいです。できなくはないですが、時間がかかってしまうので最初から求める歌い方ができる歌い手に歌ってもらった方がいいでしょう。
クセのある歌い方は求められない曲もありますが、作曲者がクセのある歌を求めている場合だってあるんです。
個性は必要ないというのは曲によっては正解ですが、いつも正解というわけではありません。
自分の個性・クセを活かした歌い方+ストレートでクセのない歌い方のどちらもできることが仮歌シンガーとしては便利なシンガーになれます。
2.録音環境を整える
全国流通するCDへの録音ではないにしろ、やはり録音されたデータは聞きやすいに越したことはありません 。
そのためには機材を揃えなければなりませんが、当サイトのコラムでは過去記事でマイクやインターフェースなどのオススメを紹介しています。
こういった機材は生活家電などと違い最新機種が優れているということもありません。いつ読んでも参考になるはずなのでマイク・インターフェースについては参考にして下さい。
ここでは機材に加えて、録音する環境についてご案内します。
歌録りをするにあたってコンデンサーマイクを使う人がほとんどかと思います。
コンデンサーマイクは息遣いなどの細かいニュアンスも拾ってくれるマイクですが、それは小さな雑音でさえも拾ってしまうというデメリットもあります。
録音レベルを下げれば雑音は拾わなくなりますが、それでは意味がありません。
吸音材を壁に貼る
つまり、録音に適した部屋が必要になります。
できれば窓のない部屋で、壁には吸音パネル・防音パネルの両方を貼れるといいでしょう。
しかし、これらがなかなか高額な商品です。6畳以下の部屋でも10万円以上はかかってしまいます。
予算との兼ね合いが決め手ですが、私個人としてはそこまでしなくても大丈夫かと思っています。
私が部屋に張ったのはこちらの商品です。
1万円程で10mの長さです。2つも買えば6畳くらいのへやならビッシリ貼ることができます。レコーディングスタジオなどの設備に比べたらお粗末なものですが、この部屋で録音したデータでクレームが来たことはありません。
デメリットとしては剥がせないことです。強力な両面テープで壁に粘着させるので、ムリヤリ剥がすと壁紙がベトベトです。貼る部屋は音楽活動専門の部屋にする覚悟で貼りましょう。
他にも小さめの吸音材を貼り付けるのもアリです。
リフレクションフィルターやポップガードはもちろん併用
こういった吸音材に加えて、録音時にはもちろん合わせてリフレクションフィルターやポップガードも使っています。
細かいことではありますが、こういったノイズへの気遣いが、リテイクなしの一発OKに繋がったり、リピーター獲得に繋がったりするものです。
3.ピッチ補正・タイミング修正は絶対に行う
高級機材とハイスペックPCがなければできなかった昔ならいざ知らず、今では編集ソフトによるピッチ修正とタイミング修正は仮歌であっても必要不可欠な作業工程です。
仮歌シンガーさんがこれらの作業を行わなかった場合でも、仮歌データを受け取った依頼者は必ず行います。なので、仮歌シンガーさんのところでピッチ補正・タイミング修正ができるなら報酬額は上がりますし、請けられる仕事も多くなる可能性があります。
3-1.ピッチ補正
ピッチ、つまり音程を正しく補正する作業ですが、ただ直すだけなら簡単です。無料ソフトでもできてしまいますし、元の音程が大幅にずれていなければすぐに直ります。
しかし、有料のソフトではさらに多くのことができます。元データを使ってハモリを入れたり、声質を変えたり、ビブラートをかけたり…
書ききれないくらい色々なことができるので、ぜひ有料のソフトを使ってみてください。
オススメはMelodyne(メロダイン)のAssistantです。2万円程で必要な機能が満載、なおかつ互換性のあるDawソフトも多いです。
3-2.タイミング修正
これもピッチ補正ができるソフトで行うことができます。
きっちり尺にあっていないと違和感がでてしまうのですが、これが意外と難しいです。録っている時は気付かないのですが、あとから聞きなおしてみるとズレていたりするので注意が必要です。
簡単な方法としては【一度ボカロに歌わせてみる】という方法です。ボカロなら完璧なタイミングで歌ってくれるので、そこからずれたものを直せばいいわけです。
3-3.無音時間のずれ
仮歌の依頼者さんは納品データをDAWに取り込みます。その際に歌いだしまでのタイミングがずれてしまうケースがうたいれ!でも多発しています。
手動でずらして調整することもできなくはないですが正確性に欠けますし、なによりきちんとシンガーさんが調整してくれればやらなくてもいい作業です。
どうしてずれてしまうのか、いくつか原因があるのでチェックしてから納品しましょう。
①マスタートラックのプラグイン
マスタートラックにプラグインエフェクトがかかっていませんか?レイテンシー補正がかかるプラグインが微妙なズレを産むことがあるので全てオフにしましょう。
②ファイル形式
ほとんどがwavなので、まさかMP3で送ってしまう人はいないと思いますがそれだけではありません。
サンプリングレートとビット数にも注意しましょう。
サンプリングレートは48khz、ビット数は24bitくらいがよく指定されます。
これが作曲者さんのオケと一致しないと歌だけズレてしまいます。
④開始位置
初歩的なところですが、もらったオケの再生位置とボーカルトラックの録音位置はきっちり合わせましょう。
合わせるといってもどちらも一番左側にするだけなので難しいことはありません。
4.まとめ
仮歌シンガーさんのレベルは年々上がってきています。
それは純粋に歌唱力という意味でもありますが、機材や環境、Dawソフトを使った編集能力なども含めてです。
ただし、歌唱力に絶大な自信がなくても他の要素で勝負できるとも言えます。
特にピッチ補正やタイミング修正、ハモリパートの追加などはオプションとして設定できるので強みになります。
仮歌シンガーとして続けていくのであれば機材・環境・編集能力にも少し力を入れてみてください。
メインの楽器はギターで、春畑道哉先生(TUBE)と松本孝弘先生(B’z)を崇拝しています。
その他にベース・ドラム・キーボードも自分でいじって遊んでいます。
YouTubeにてその様子を公開しているので、興味のある人は見てください。