マイクと言えばSHUREというくらいに有名なマイクメーカーですが、一般的にはSHUREのマイクはSM58がライブ向け、SM57が楽器向けというくらいの認識しかありません。
しかし、実は58にも57にもSMではなくBETAという別シリーズがあります。今回紹介するのはBETA57Aという著書のお気に入りマイクです。性能や特徴はオフィシャルサイトを見て頂くのが一番かと思いますので、ここでは個人的感想やレビューを中心に書いていきます。
1. 性能・特徴
オフィシャルが詳しいとは言え、この辺にも全く触れないわけにはいきませんからね。特筆したいことをいくつか紹介します。
楽器用マイクとして販売されているダイナミックマイクSM57の上位版という位置づけです。周波数特性や指向性が違うので、必ずしもBETA57Aが優れているわけではありませんが、価格的には上位版ですね。
SM57・58、BETA57・58のなかで一番高音がヌケよく拾ってくれるマイクです。またSMシリーズは単一指向性ですが、BETAシリーズは超単一指向性なのが特徴です。
2. コンデンサーマイクを超える!?
すいません。超えません。話を盛りました。
そもそもコンデンサーマイクとダイナミックマイクでは構造が違うので、超えるとか超えないとかの問題ではありません。音の拾い方が違います。
ただし、録音した音が使いやすいかどうかという意味ではコンデンサーマイクを超えるケースもあります。
以前はコンデンサーマイクは高価なものという認識でしたが、現在では安価なコンデンサーマイクも出回り、簡単に手に入るようになりました。1万円前後、もしくはそれ以下で手に入るものもあります。
個人的な感想ではありますが、1万円程のコンデンサーマイクは音がペラペラで、少し声量があるボーカルには不向きです。4万円で購入したコンデンサーマイクも持っていますが、録音した音は明らかに違います。ここからは本当に超個人的見解ですが、簡単にマイクの値段別で評価してみました。
1万円前後⇒ボーカル用としては使えない。ダイナミックマイクの方がいい
5万円前後⇒ボーカル用マイクとして実用可能レベル
10万円前後⇒さらに高音質。ボーカリストのレベルが高いならこのくらいのマイクは使っておきたい
30万円クラス⇒私の耳では10万円クラスと20万円分の違いがあるかどうかはわかりませんでした。確かに違うけど…というレべル
こんな感じです。安いものでもコンデンサーマイクである限り高感度なことは変わりありません。でも録れた音が実用可能な音質かどうかと言われるとNoです。
CD音質でレコーディングをするなら5万円クラスのコンデンサーマイクは最低限使っておきたいものです。それを用意するのが難しいなら無理に安いコンデンサーマイクを買うよりもBETA57Aの方がいいでしょう。
また、指向性も狭いので雑音も入りにくいです。きちんと防音・吸音ができた部屋でないならコンデンサーマイクの使用は考え直した方がいいかもしれません。
3. 慣れればライブに最適
楽器用とされているBETA57Aですが、実はライブ用ボーカルマイクとしても活躍します。
ステージ上は様々なモニターやアンプが設置され、客席よりも音がごちゃごちゃしています。ボーカルマイクは音量を上げるのでそのステージ上での音をいろいろ拾ってしまいます。これがハウリングの原因になるわけですね。そこで超単一指向性であるBETA57Aの出番です。
拾う音の有効範囲が限りなく狭いので、正面から歌うボーカルの声以外拾いにくくなっています。
逆に言えばボーカリストは常にマイクに対して適正な角度で歌わなくてはなりません。これには慣れと技術が必要ですが、ボーカリストならこれくらいの技術は身に付けておきましょう。超単一指向性のマイクを使う時以外でも適正な角度で歌えるというのは必要な技術です。むしろいい練習になると考えた方がいいですね。
4. スネア・アコギの録音にオススメ
スネアの録音に適しているかどうかはもちろんどんな音が好みかによりますが、私は好きです。無駄な低音をすっきりさせ、スネアのタァン!と高音の気持ちいいところを録ってくれるからです。
他にもアコースティックギターのサウンドホールを狙って録る時もいいですね。コンデンサーも用意できるなら、サウンドホールかブリッジのあたりにBETA57Aを、1.5メートルくらい離れたところにコンデンサーを置いてミックスすると広がりのある音になります。
5.まとめ
決してコレ1本もっていればなんでもこなせる万能マイクというわけではありません。どんなマイクも利用用途を考えて作られているので、そもそも万能マイクなんてものは存在しません。
しかし、どこまでこだわるかは使う人次第です。プロの仕事現場で使うものは専用の用途で作られたものを使うのは当たり前ですが、そうでない場合は利便性やコスパなども考える必要があります。
少なくとも私にとってBETA57Aは限りなく万能マイクです。アコギの録音、仮歌の録音、ライブでの使用、全てに使えます。CD音質の録音をしたい時だけはコンデンサーマイクを使います。
SM58はめっきり使っていませんし、1万円のコンデンサーマイクは即ヤフオク行きでした。
最後に、ボーカル用として使うならポップガードは必須です。かなり吹かれには弱いマイクなのでそこだけは気を付けましょう。
メインの楽器はギターで、春畑道哉先生(TUBE)と松本孝弘先生(B’z)を崇拝しています。
その他にベース・ドラム・キーボードも自分でいじって遊んでいます。
YouTubeにてその様子を公開しているので、興味のある人は見てください。